秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
「あのとき甘いものが好きだって言ってたからカフェオレにしたんだけど、大丈夫だったかな」

 四年前のあの夜、デザートを食べていたときにした些細な会話だった。それを覚えてくれていてわざわざ作ってくれたんだ。そう思うと、胸に熱く迫るものがあった。

「ありがとうございます。カフェオレ、すごく好きです」

 相良さんにとってあの夜のことなんてなんでもない出来事で、記憶の片隅にでも残っていないと思っていたのに。

 私はカフェオレに口をつけずにマグカップを両手で包むように握りしめる。すると、相良さんが「なにから話そうか」と話を始めた。

「いざ君を目の前にすると悩むけど、まずは……また君に会えて嬉しかった」

 相良さんは柔らかな声で言った。私は一瞬思考が停止する。

 意味がわからなかった。
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