秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない

 あれから弟さんの奥様の実家へ桜介くんを迎えにいき、相良さんは会社から少し離れたところで私と恵麻を車から降ろしてくれた。

 昨日私が、変に注目されたくないと言ったのを気にしてくれていたのだろう。あのときは混乱していたからといって、相良さんにはひどいことを言ってしまった。

 恵麻にも言われていたけれど、今度ちゃんと謝らないと……。

 会社へ向かう車の中では、恵麻と桜介くんがふたりで楽しそうに話していた。やはり子供同士。一瞬で仲良くなったふたりを、相良さんも何度も嬉しそうにバックミラー越しに見つめていた。

 その表情を思い出し、胸がきゅんと痛む。

 今朝は助手席に乗っていた私は、相良さんに気づかれないように何度もこっそりとその横顔に視線を走らせていた。

 それにしても、相良さんはどうして私たちにあんなに親身になってくれるのだろう。

 理由ばかりが気になるのに、本人には聞けなかった。相良さんの優しさが不純なものから生まれているとはどうしても思えないというのも、ただそう信じたい私の思い違いかもしれないし。
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