初恋交響楽
わたしは大国くんに嫌われていたみたいだった。

でも、何で嫌われていたのだろう?

大国くんの気に障るようなことをしたのだろうかと振り返ってみたものの、特にこれと言った心当たりが見当たらない。

「何で…」

ーー西尾はないかな〜!

先程の大国くんの言葉が頭の中によみがえった。

わたしのことは"西尾さん”と名字に"さん”をつけていつも呼んでいた。

でもさっきは"西尾”とわたしのことを呼び捨てで言っていた。

影ではわたしのことを呼び捨てで呼んでいたって言うことだよね?

「何よそれ…」

好きだと浮かれていた自分がバカみたいで、大国くんへの気持ちが冷めて行っているのがわかった。

この瞬間、わたしは大国くんのことが嫌いになった。
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