i -アイ-
「一番最初に入ったのが、No.1だろ?そうだろ?」
斜め下を見たまま、キャキャキャと笑う。
「2番目は軽そうだな。フットワーク系か、だとしたら碓氷だろ?親父もフットワーク系だったな!弟の方は重量級だった。」
今度は斜め上を見る。
「3番目は麗士の息子だろ。警戒心が1番強い足音だ。警戒心の強い男は面倒だから海崎が担当だったのにさぁ。……そんで4番目が慎の息子か?いや、慎もそうだけど歩き方普通なんだよな〜5番目が三國だから、4番目が慎の息子かなって。合ってるか?合ってるだろ」
この人、
目が見えてないのか……?
「なんだ、橘の息子だけ名前知ってるのか」
腕を組んで立っているスキンヘッドの長身のおっさんが聞く。
そうだ、……三國さんだけ三國って。
「あぁ。元は俺と同級生だからな」
……は?
元さんの同級生って、この人、40超えてんの?
アップバンクの赤髪。
シワの無い、俺らと同年代と言われても疑わないような容姿。
「三國ぃ……昔は軽かったのにそんなにでかくなって。……好きな女でもできたかぁ?ひゃはっ、愚問かぁ!お前の好きな女は」
「要件は」
暁さんが言葉をわたる。
楽しそうに笑っていた赤髪の顔から笑顔が消える。