i -アイ-




考えろ、藍人なら



藍人なら、どうする……



「後者」



俺なんかが藍人の真似事をして、上手くいくとは思えない。

けど、鍵が藍人なら、その鍵を探し出すための駒になら、なれるんじゃないのか。



「後者を選ぶ」



赤髪に答える。

平常心で。



「蓮、何言ってんだ」


隣からビリビリと殺気を感じる。


息を吸って、吐く。


「……ほぉ、佐伯の小僧。怖気付いたか」



ニィッと笑うスキンヘッド。



「ばぁかだな」


笑わないで、俺の方を見る赤髪。

見えてんのか見えてねえのかどっちかにしてくれ。


「怖気付いたんじゃねえ。その逆だ。この小僧の恐怖が消えた。佐伯の小僧はさっきから息が浅かった。それが今落ち着いてやがる。……どうした、なんの心境の変化だ。坊っちゃん、何が言いたい。言ってみろ」



ここで、藍人なら、笑うだろうな。



「ふっ、はは。」


俺は藍人を見てきた。この数日間。

あの不気味の悪さも目の当たりにしてる。

信じろ、自分を。



「俺たちが藍人の所へ行かなきゃいけない。潰すならさ。解放しろよ。」



暴れてた頃の自分。

能無しの獣。


藍人と一緒にいると痛感する。
時間を無駄にしたと。





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