i -アイ-
「てめぇらー、時間だぞー」
トランシーバーのようなもので呼びかける。
下の階から、足音が聞こえる。
扉から離れて、挟まれないようにサイドに立つ。
何故か既に血だらけのゾンビみたいなやつから、皮膚すら硬そうなでかい男まで。
ざっと50人。
対、俺ら5人。
1人10人。
いや、赤髪、スキンヘッド、眼鏡もやるのか?
知らねえけど。
「よーし、スタート!」
楽しげな赤髪の声で始まる。
序盤は良かった。
ほぼのして、俺と優介さんが少し怪我をしたぐらい。
でも、ゴキブリみてえに下の階からゾロゾロと湧き出てきやがる。
他のメンバーの状態が把握出来ない。
「本気出せよーお前らー。情けねえ声出すな耳障りだなぁ」
赤髪は余裕そうだ。
赤髪に気を取られていると、後ろを取られ、腕を2人に掴まれ、
「おーら坊ちゃん!折ってやらぁ!」
鉄パイプを振り下ろす男。
ふざけんな。
その時
「ぴーぽぉーぴーぽぉー」
阿呆な叫び声。
「患者が、通るよ?」
耳を疑った。
全員手を止めてその声の先、扉を見た。
「初めまして、宍戸李麻、南偉織、岸麟太郎」
そこに居たのは、頭を包帯で巻いて笑う、
「藍…」
藍人だった。