【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ

「お前の、お前の、婚約者が、お、王命で、お前の婚約者が決まったんだ……」

 王命。そう聞いてシルウィンはその心を冷たくした。

(王命……だったら断れないじゃない。きちんと私に見合う相手ならいいけれど、そうじゃなければたまったものじゃないわ。王族でもないのにどうして王命で婚約なんか……)

 憎々しげに、シルウィンは手のひらを握りしめる。そして気乗りしないながらも、相手の名前を問うことにした。

「それで、お相手の名前は?」
「あ、あ、ああ。相手の名前は、カーティス・ディルセオンだ」

 絶望したように青い顔でシルウィンの父は話す。しかしシルウィンは驚きと、そして喜びで目を見開いたのだった。


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