【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ
リグウォン家の馬車が、王都へと入っていく。シルウィンが突然王命による婚約を知ってから、今日で七日。シルウィンはディルセオンへの屋敷へ訪れることを公爵家からの手紙で命じられ、まともに家族に別れの挨拶もできないまま、あれよあれよという間に公爵家へと向かっていた。
というのも、これは政治的なものごとが深く絡み合った、緊急を要する婚約だからだ。この婚約のきっかけは、今から三年前のある事件まで遡る。かつてシルウィンが王都へと向かうことになった王太子と公爵家との婚約。それが王太子によって、一方的に破棄されたのだ。
王太子は王都の貴族が通う学園にて男爵家の、それも平民上がりの令嬢と出会い、恋に落ちた。そこで王太子は王家主催の夜会にて公爵家の令嬢に対し一方的に婚約破棄を宣言し、挙句衆人環視のもと公爵家令嬢を侮辱したのである。
その件は王も王妃も事が起きるまで全く関知せず、事態を重く受け止めた王は王太子を廃嫡させ、公爵家からの抗議により男爵家から爵位から何から全てを取り上げた。
しかし、事件はそこでは終わらなかったのだ。