【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ

 この国には東西南北と、南東は海を渡ったそれぞれの隣国から、北西は峠を越えた別の隣国からいつ攻め入られてもいいようにと、国境を守り一帯を統治する家が存在する。婚約破棄の事件から半年、廃太子は突如男爵令嬢と共謀し、東の国境を守るメアロード家の侍女をさらって、メアロード家の当主を誘き出した挙句、口論の末当主を銃で撃ち殺そうとしたのである。

 理由は王太子を寝取った男爵令嬢には妹がおり、その妹がメアロード家で暮らし当主と恋仲になったことを知った廃太子と男爵令嬢が、メアロード家の当主に金を無心しようとしたのだ。その末に、凶弾事件が発生した。

 その事件、そして婚約破棄の責任問題もあり、王城の政の勢力図は二分した。最早今の王家に未来はなく、これを機に一新しようという新政派。そして今までの旧政派と分かれたのだ。

 しかし実質、新政派はこの国の宰相であるダリウス・シャイルリードがその先陣を切っていることもあり、新政派が覇権を握るのも時間の問題とされている。そんな中、現王率いる旧政派は自らの地盤固めの為、自分たちに近い公爵家ディルセオンと、国境を司る家々の者たちのどこかと契りを結ばせることを急いだのである。
< 12 / 245 >

この作品をシェア

pagetop