【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ
シルウィンは、自己評価がとても高かった。美しく、可憐な面立ち。大きな瞳。小ぶりな鼻。ふっくらであり控えめな唇。麗しい曲線を描きながら光を流す髪。自身を構成するものを可愛いと考え、その体型も可愛くあるように彼女は努力を重ね、華奢でありながら儚さは感じさせず、その面立ちに見合う体型を目指し、維持をしている。
周囲の評価も同じで、彼女を天使のようだと称え、羨望のまなざしを向けていた。シルウィンはそんな眼差しを当然ととらえながら、努力は怠らず日々自身の考える最高を目指し続けた結果、同じように彼女の理想、未来の夫に抱く条件も、天まで届きそうなくらい昇って行ったのである。
しかし、理想は高いといえど、シルウィンはきちんと現実が見えていた。だから相手に求める身分は頓着しなかった。シルウィンは国境を守る家の娘だ。だからある程度自身と添い遂げることになる相手は、一定の基準を満たした者でなくてはならない自覚がある……わけではなく、自分に身分があるから他人には身分は求めない。
あくまでそういう意識だった。自分は一男三女の末娘、ある程度私が身分の低い男と結婚してもいいでしょう。それがシルウィンの言い分であった。