青春の花は素顔に咲く


 逃げちゃだめだ。あたしだけの問題じゃないんだから。
 逃げちゃだめだ。逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ!

「っは……」

 息が荒い。つらい。苦しい。
 職員室でお母さんが怒鳴る声が聞こえる。
 入りたくない。でも、入らないといけない。
 白銀を守らないと。それができるのはあたしだけだから。

 行け。芽以。行くんだ芽以。

「失礼します!」
「芽以!」
「お母さん! 話があるの!」
「またそんな格好をして……! 着替えてきなさいっ」
「嫌!」
「脅されてるのね? あの子に?
「そうじゃないの、話を聞いてよ。お母さんっ」
「もうすぐあの子も来るから、理事長室で話し合いましょ?」
「……わかった」

(今話したってらちが明かない)

 ごめん、白銀、本当にごめん……。
 あたしは泣きだしたいのをこらえて白銀を待った。

 お母さんは明らかにイライラしててしたうちまでしていた。

 傍にいるだけで、あたしはビクビクしてしまう。

「白銀君が来たので、理事長室へ」

 そう言われ、あたしは重い足を上げて理事長室に向かった。
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