その夢をどうしても叶えたくて


誰かに優しく叩かれている気がして、ゆっくりと目を覚ました。すると、さっきの彼がいた。

やっぱり、アレは夢じゃないんだ……。


すると、なーせくんはノートを持ってきて見せてきた。


『驚かせてごめんね。でも、間近で自分を応援している人に出会えて嬉しくなっちゃった。もしかしたら、俺は人間じゃないのかもしれない。瞬間移動とか出来てびっくりしたもん(笑)でも、声出ないから活動出来ないな。本当にごめんね』


なーせくんは突然のことですごい悩んでいるかもしれない。私が気を失ってる間に辛い思いをしてたんだろうな。


「私こそ驚いてごめんなさい。なーせくんも驚いているもんね……こんな私でいいなら、なーせくんを支えます。大好きななーせくんが辛い思いをしてたら私も辛いもん」


すると、なーせくんはノートに書き出した。


『これもきっと何かの縁だと思う。二人で支え合っていこう。俺も君のこと大事にするよ。本当にありがとう。だから、リスカとかそういうのは止めてよね』


「あっ……」


左腕をバッチリ見られてしまったのか。悔やんでいると、自分のことを紹介していないことに気付いた。


「自己紹介してなかったね。私は新城奏。高校一年生です。なーせくん、よろしくお願いします」


私が自己紹介すると、なーせくんが私を抱き締めてきた。肩を震わせて泣いている様子だった。


やっぱり辛いんだろうな。自分が人間ではないのか、もう活動出来なくなるのか……悩み事だらけで苦しいよね。


私となーせくんでは、悩んでいることの大きさが違う。私が一人ぼっちで苦しいだけでは誰も変わらない。だけど、なーせくんの悩みは多くの人達を変えてしまう。


この先、どうなるのか本当に分からなくなってきた。


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