その夢をどうしても叶えたくて


私はいつも通りに学校に行った。今日はなぜだか知らないが、なーせくんが部屋に居なかった。



私は今日も一人で学校に行く。教室で自分の席に座って一人で考え事をする。


ついこの間までは、なーせくんとの妄想とか、自分が夢を叶えた妄想とかをしていた。だけど、なーせくん本人に出会って妄想はしなくなった。


今はただただ痛々しい虚無感と孤独感が私を襲う。周りは賑やかでとても楽しそう。その中に入れない私はいったい何だろう。


今までのように妄想出来ていれば、こんな苦しみを味わうことなど無かった。自分の世界に入れることがどれだけは幸せだったのだろうか。



授業が始まっても、私は一人で悶々としていて、話もまともに聞けなかった。


常に死にたい消えたいしか考えられない私は狂っているのだろう。私は本当に何がしたかったのだろうか。


歌を歌いたい。私の歌で人々が喜ぶところが見たい。ステージに立って、もっと多くの人々に喜んでもらいたい。


そんな夢を願っても叶うことなんて無い。だから、夢を捨てる。だけど、そんなことをしてしまうと本当に私は生きる気力を無くしてしまう。


夢なんて無い方がいい。辛い現実なんて知らない方が良かった。人に出会わなければ良かった。ずっと孤独で居た方がマシだった。


何でこうなったんだろう。どうして私は、心から笑えなくなったんだろう。何事も楽しいと幸せだと思えなくなったのだろうか。


昼休みになった。一人でご飯を食べ終えた後、私はなんとなく廊下を歩いていた。小学生の頃もよく一人で廊下を歩き回っていたな。


「あなた、大丈夫?」


誰かに話しかけられたような気がして俯いていた顔を上げると、保健室の先生が居た。先生は私に微笑んでくれた。


「保健室で一緒にお話しない?」


 私はそんなことを聞かれ、縦にうなづいた。どうせ一人だから暇なのである。


私は保健室の椅子に座らされ、先生が真正面に座った。


「最近どうなの?話したくないなら無理に話さなくて大丈夫よ」


 保健室の先生の優しい言葉に泣きそうになっていた時だった。


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