昨日までを愛せますように。
まだ21時前。

明日も休みだから、仕事で寂しさを紛らわす事は出来ない。

……がしかし、心の隙間を埋めてくれる誰かも居ない。

行きたい場所もない。

行く宛てもなく、歩き出す。

そうだ、あの日のように適当に電車に乗って、どこかの駅に降りてみよう。

美優の自宅の近くは流石に不味いから、違う場所にしようか。

「……あ、」

駅前まで歩くと、お店の前で別れた二人が駅前にまだ居る事に気付いた。

人通りがまだチラホラとある夜の駅でも、二人は目立つ存在な為、直ぐにでも気付く事が出来る。

二人は私の存在に気づかぬまま、別々の黒塗りのタクシーに乗り込んだ。

タクシーはそれぞれ違った方向へと出発して行った。

何で………?

一緒の自宅に帰るんじゃないの?

旦那さんはまだ用事があるとか?

「……こんばんは」

立ち止まり、二人を遠目に眺めて居ると背後から聞き覚えのある声がした。
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