王女ちゃんの執事3『き・eye』男の娘、はじめます。
 今、王女さんの助けが必要なのは、おれだ。
 ゲイならまだよかった。
 性癖のちがいで片づけられる。
 でも、虎は女だ。
 そうだろ町田。
「とんちゃん……。ごちそうになったお礼に、おれまた数学みるよ。おれらが真面目に勉強してたら加藤さんだって本気になるよ。それって、うれしいだろ? とんちゃんも」
 虎がぎゅうと町田にしがみつく。
 おれだけが混乱していた。
 初めて気づいた事実に。


 察する虎と見える町田。
 おれはLDKのソファーに寝かされた。
「まったく……。補講ふつかで知恵熱ですか? そんなに勉強がきらいなら、もっとほかの学校でもよくなかったです?」
「兄ちゃんは、おれとちがって頭がいいの。むかしっから勉強してんの、見たことないよ」
「そ…れは、ひでぇ」
「あは。兄ちゃん、一海さんの前だから、かっこつけたいんだぁ」
 くすくす笑う虎の横で町田がうなづく。
 わかった。待つよ。
「おれは大丈夫だから。虎、町田の相手してやっててくれな」
「え。いいの? ほんと? も、兄ちゃんずっと寝てていいよ」
「それも、ひでぇ」
 今度は町田も笑っている。

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