王女ちゃんの執事3『き・eye』男の娘、はじめます。
「あのね、おれ、こんなで――、おれ、変かもだけど――…」
 どこがだよ。
「おまえが一番かわいいわ、ここで」
 西野に聞こえるように言って、背後に寄り添ったおれに、虎は耳まで真っ赤に染めて唇を震わせたけど泣かなかった。
 西野がのけぞって。
 初めておれを虎の連れとして見る。
「来いっつっといて、うちの子を待たせる失礼なガキに、おれは、お仕置きしたいんだがな」
「やめて、兄ちゃん」
 虎は即座に首を振った。
 うん。ちゃんとわかってるから、がんばれよ。
「西野くん。もうやめよ。写真、捨てて。これ以上、西野くんのこと――、嫌いになりたくない」
 あああああ、もう!
 おれの弟は、自分を絶望のふちに追いこんだ相手に、こんなことを言うばかだから。
 仕方ない。
 汚れ仕事はおれがやる。
 展開についてこられずに硬直している西野の尻ポケットからスマホを拝借。
「ちっと借りるぜ。ここでぶち壊さないのは温情だ」
「ちょっ! なにすんだ」
 やっと事態についてきた西野が伸ばしてきた手から、奪ったブツはバンザイ隔離。
 おれのほうがたっぷり20センチは背が高い。届くもんかよ。
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