王女ちゃんの執事3『き・eye』男の娘、はじめます。
 鼻息も荒く肩をそびやかすおれを、虎がその細腕で去勢した。
 男の猛った気分なんて一瞬で消し去る、甘い女の子マジック。
 野郎にされたら蹴り倒しかねない真夏の腕くみが、じわりと汗ばんできてさえ振りほどけない。
「ねぇ。なにか沙織さんに、お礼がしたいな。買い物に行こ?」
「いいけど。そろそろ町田が五十嵐に困ってるだろうから、呼んでいっしょに選んだら?」
「ぇぇっ! 一海(ひとみ)さんたち、まだいてくれてるの? …ってか、そだね。一海さんにいやな思いさせちゃってるよね、おれ。いくら弟でも……、こんなカッコの子に、兄ちゃんを取られたくないよね。おれ、一海さんと仲良くしたかったのに…どうしよ……」
「…………」
 それが本音だよな、虎。
 おれに友だちがいることを、うらやましがってたもんな。
 だからあと3年半、おまえが偽りの自分に耐えて生きるって言うなら、おれも気合を入れて見守ってやる。
「一海はそんなにケチな人間じゃねぇぞ。おれを信じてくれてる。おまえを本当にかわいいと思ってくれてる。全部さらけだすことだけが正しいってことは…ないだろ?」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「兄…ちゃん……」
「もう泣けないって言ったの、誰だ」
「だっ…て……」
 助けてくれ、五十嵐。
 おれには無理みたいだ、女のエスコートは。
 それなのに王女さん?

 そりゃちょっと、ハードルが高すぎるってもんじゃね?
 ――はぁぁぁぁぁ――
 空に、ため息を聞かせてみた午後3時。

 ***

次回、最終章、
第4話『ほ・eye』
おまけの第5話『わ・eye』で文庫1冊ボリュームになります。
Wordでは書き終わってるんですけど
野いちごサンでスマホ用の文字送りに改めるのに倍ぐらい時間がかかっちゃって……。
みんな!
A4のタブレットで読んで!
…って、言えたらなぁ(笑)
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