真夜中のサイコパス
私は自分に取りついている悪霊を祓う方法を知らない。


だけど、テレビやマンガで見た知識から魔除けのお札を買ってきて、部屋の中で線香を焚いてみた。


そして私は目をつぶり、手を合わせ、自分に取りついている浜中美澄がいなくなることを本気で願った。


通り魔に顔をめちゃくちゃにされた優子は、もう学校には来ないらしいという話を聞いた。


あの明るく笑って、いつも私に話しかけてきた優子に私はもう会えないのだ。


顔にたくさんのキズを負っている優子の不幸は、学校を止めるだけで終わるはずがない。


顔をぐちゃぐちゃにされた優子はもう二度と恋ができない。


それに、高校中退というハンデだけでなく、顔に負ったケガのせいで働くことも無理かもしれない。


だとしたら、優子は一生家にこもり、両親の世話になって生きていくのだろうか?


そしてそんな不幸で細々とした生き方も、両親が年を取って破綻する。


私は優子に心から謝りたかったけど、そんなことが許されるはずもない。


私は悪霊と共に生きて、不幸をばらまく存在だ。


私なんて本当は浜中美澄と共にこの世から消えるべきなのだ。


私はそう思いながら、浜中美澄を強く憎んだ。


そして私が浜中美澄が消え去ることを心から願ったとき、甲高い笑い声と共に浜中美澄の幽霊が私の部屋に現れたのだ。


私はいつものように不気味な顔で笑っている浜中美澄をキッとにらんだ。


こいつさえいなければ、私の高校生活は以前と同じはずだったのに。


私と優子は友達で、私は須藤拓実に叶わない恋をして、クラスのアイドルの木村菜々子に嫉妬する。


そんな私の普通があったはずなのに。
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