契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
「やだ、うそ」
あのあと、桐生さんから連絡が来ていなかったのをいいことに、返事も先延ばしにこちらからも何もアクションは起こしていなかった。
いつごろ、なんて連絡をしようかなんて思いながら、もう一週間以上が経過していて、さすがに返事を聞かせてもらいたいという連絡だろう。
「はい……宇佐美です」
考えもなしに、とりあえず鳴り続けるスマートフォンに応じる。
電話の向こうはしんと静かで、『こんばんは』と桐生さんの声が聞こえた。
「あ、こんばんは。先日は、ごちそうさまでした」
『いえ。こちらこそ、ご足労いただきありがとうございました』
ふたりでル・シャルルに行ったあの日、食事代は桐生さんがすべて支払ってくれていた。
ご馳走になるつもりはなかったのに、誘ったのは自分だからといつの間にかお会計を済ませていたのだ。
お恥ずかしいことに、そんな風に男性に支払いをしてもらうことに慣れていない私はついおろおろしてしまったけれど、桐生さんはスマートにその場を収めてくれた。
『今、大丈夫ですか?』
「あ、はい。大丈夫です」
答えながら、この間会って話したときのことを思い返す。