契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
嫁いできて家族に入ったといっても、嫁という存在は所詮他人だ。
そんな立場の私が、しかも実は契約結婚だという私が、こんなことを言ったらおこがましいかもしれない。
言ってみてそんな風に思った矢先、お母様が少し声のトーンを落として「そうだったの」と私に寄り添うような優しい笑みを浮かべてみせた。
「佑華さん、まだお若いのに、それは辛い思いもしたわよね」
「もう、大分時間も経ってしまったので、今はもう大丈夫です。すみません、こんな私の話」
両親がもういないなんて、どこか暗い話題を持ち込んでしまったと、何か別の話題でもないかと考えだした時、静かに食事をしていたお父様が「佑華さん」と私を呼んだ。
「あなたももう、うちの家族の一員だ。だから、これからはここを自分の実家だと思ってくれていい」
お父様がそう言うと、それを聞いたお母様がすかさず「そうよ!」と明るい声で同意した。
「これからは、私たちのことも本当の両親だと思ってちょうだいね」
掛けてもらった言葉に、胸のあたりがジーンと温かくなっていく。
まさかそんな風に言ってもらえるとは思わず、思わず涙腺が緩みかけてしまった。
「嬉しいです。ありがとうございます」
頷き、そう言うのが精一杯で、浮かびそうな涙は瞬きを止めて乾かす。
温かい言葉に感激した半面、この優しく温かいご両親を実は騙してしまっていると思うと、ほかほかになった心臓に鋭い針が突き刺さる思いだった。