契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
「嘉門美鈴です。この隣が実家で、七央とは古い付き合いなんです」
笑うと頬にえくぼができ、美人だけど可愛らしい。
初対面でも臆しない様子に、私のほうが圧倒されてしまう。
「うさ……あ、桐生、佑華です」
危ない。結婚したというのに旧姓を名乗ってたら、不思議に思われてしまう。
なんとかまだ慣れない苗字で名乗ると、美鈴さんは私に向かって握手の手を差し出した。
「佑華さん、かわいい名前。これからよろしくね」
「もういいか」
このまま話が長引きそうな雰囲気の間に割って入り、七央さんが「佑華、行こう」と私の背に手を添える。
「あ、はい」
「もう、せっかちねー。佑華さん、またね」
美鈴さんとご両親に見送られ、自宅前に駐車している車へと乗り込んだ。
なんか……パワーのある人だったな……。
「悪かったな」
「え……? 何がですか」
「帰りがけに、うるさいのに捕まって」
車を走らせてすぐ、沈黙を破った七央さんは美鈴さんのことを謝る。
〝うるさいの〟なんて言うのは、気心の知れている証拠だ。