契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
「ケーキなんですけど、実はもうひとつお店で予約していて、それは明日の受け取りなので、今日は私のロールケーキで勘弁してください」
「ふたつもケーキが用意されるなんて、すごいな。佑華らしい」
そう言ってフッと笑う七央さんを目にして、なぜ笑われたのか勘が働く。
「あっ、違いますよ? 私が食べたいからってふたつ用意してるわけじゃ」
すでに言い訳みたいに聞こえるのを誤魔化すように、一本立てたロウソクにライターで火を灯す。
そんな私を、七央さんはまた微かに笑う。
「あ、それから……先に言っておこうかと思うんですけど、誕生日プレゼントも色々考えてみたんですけど、何をプレゼントしたらいいのかわからなくて……なので、今日は用意できてなくて」
「ああ、構わない。そんなことは気にしなくていい」
抑揚のない声でそう答えた七央さんは、ぼんやりとケーキに視線を送っている。
そんな様子を目にして、つい「あの……」と切り出していた。
「大丈夫、ですか?」
「え……?」
「あ、いえ。なんか、お疲れのところにお祝いをしてもいいかなんて言い出してしまって、ちょっと失敗しちゃったかな、と……」