契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
暗くした部屋にロウソクの明かりがひとつ、小さく揺れる。
リビングの向こうには、窓から鏤めた宝石のような東京の街が見えていた。
落ちた沈黙の中、じっと七央さんの顔を見つめる。
ロールケーキに視線を注いでいた七央さんの切れ長の目が私に向いて、どきりと鼓動が跳ねた。
「いや、悪い……違うんだ」
何か言いたいのに抑えているような、そんな様子に高鳴った鼓動が不安な音を立てていく。
私から目を逸らした七央さんを、じっと続きを求めるように見つめた。
「契約結婚とはいえ、場合によっては相手の状況を理解しなくてはいけないとは思ってる」
え……?
一体なんの話が始まったのか。
よくわからずきょとんとしてしまう。
「俺も、契約を交わす前に訊くべきだったとは思ってる。でも、もし何か困っていることがあるなら、俺で良ければ力になる。だから──」
「あ、あの!」
思わず七央さんの話を止める。
口を挟んだ私を、七央さんはいつにも増して真剣な表情で見据える。
「ごめんなさい……いったい、なんの話なのかなって」
「なんの話って、隠さなくてもいい。子どもが……いるんじゃないのか?」