契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました


 さらりとすごいことを言われて、つい会話を止めてしまう。

 お父様もパイロットなんて聞いてない。あの食事会の時に出た話題だったのかもしれないけど、私は聞いてない。


「ああ、そうなんだよね。自営業でもないのに親子で同じ職業って、なんか珍しいのかな」

「いや、パイロットの親子は普通に珍しいと思いますよ」

「そっか、そういうもんか。うん、だからその人の休みの取りたい形にもよるかもしれない。俺は単純に、どっちも飛びたいから両方フライトしてるけど」


 パイロットの仕事について聞けたのは収穫だけど、桐生さんのお父様もパイロットだという思わぬ収穫もしてしまった。


 すごい、エリート一家なんだな……。


「桐生さんがパイロットを目指されたのは、やっぱりお父様をみて憧れてですか?」

「まぁ、そうなるのかな。物心ついた頃から、よく空港には連れていってもらってたから、飛行機が身近だったっていうのもあるかもしれない。子どもの頃に、父親の仕事に憧れてたのは大きいかな」


 食べ終えたプレートが下げられていき、次に出てきたのは可愛らしい枇杷のプチタルト。艶っとした枇杷のコンポートが乗り、ミントの緑が飾られている。

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