契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました


「宇佐美さんは、今の仕事に就いたのにはどうして……?」

「私も、進路を考えるずっと前の頃から、助産師になろうと思っていたんです」

「それは、やっぱり身近に助産師の人が?」

「実家の向かいが、助産院だったんです」

「へぇ、実家の前が」

「はい。だから、よく赤ちゃんを目にすることも多くて。そこの院長がすごく温かい人で、いつの間にか憧れていたんだと思います。いつも『可愛い天使が生まれてきたわよ』と教えてくれてました。そこで出産したお母さんたちが、よく産んだ子を連れて遊びに来ていたんですよね。だから、やっぱり温かい場所だったんだと思います」


 私の話を黙って聞いてくれる桐生さんは、真面目な面持ちで頷いている。

 そして「そっか」と薄い唇に微笑を浮かべた。


「じゃあ、身近に目標となる人がいたんだね。初めて会った時から、きっと仕事に対して志の高い人なんだろうなとは思っていたけど」

「志……と、言えるのかはわからないですけど、やっぱり助産師になってよかったなって、日々思ってます。なんだろう……出産って、人の人生の中ですごく大きな出来事のひとつだと思うんです。そのお手伝いができる仕事って、すごいことなんだなっていつも思いながら携わっているというか──」


 するすると言葉が次々と出てきていて、急にハッとしたように言葉を止める。

 桐生さんが話を聞いてくれるから、つい自分の話をべらべらと……!

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