やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない
「実は知り合いの女性の誕生日が近いんだがいいプレゼントが見つからなくてね」
「はぁ」

 そういえば私の誕生日ももうすぐなんだよなぁ。

 ま、偶然だけど。

 私はもう恒例となったぼっちの誕生日のことを頭の隅っこに追いやった。ぼっちなのは友だちがいないからではなく単に仕事が忙しくてそれどころではないからだ。

 三浦部長の表情がさらに一段厳しくなる。ああ今度こそ何か怒られると私が身構えると怒りと呼ぶには柔らかすぎる声音が降ってきた。

「君なら何が欲しい?」
「えっ、私ですか」

 彼の声が妙に優しくて心音がとくんと跳ねた。あー駄目駄目、これ絶対認めないからねと私は心の中で避ぶ。
 
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