やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない
 ごまかすように私は答えた。

「そうですね、最近洗濯機の調子が悪いので新しいのと替えたいです。あとエアコンもマイナスイオンとか出る奴にしたいですね。それと今使ってるスマホも機種変したいなぁって思ってまして。あ、部屋のローテーブルも大分傷んできてるんですよ。あれも新調しないと」

 三浦部長がまっすぐに私を見つめてふむふむとうなずく。

 その視線が何だか恥ずかしくて私は耳まで赤くなる。

 逃げ場を求めるように言葉を接いだ。

「そ、それと今年はかなり寒いので新しいマフラーともっと厚手のコートが欲しいです」

 自分のコートに目を落としながら私は苦笑した。

「これも気に入ってるんですけどやっぱり薄いので」

「そうか」

 三浦部長が大きく首肯した。その頬が緩んで見えるのは気のせいだろうか。
 
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