やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない
 夜。

 私と三浦部長は会社の最寄り駅から二つ先の駅と隣接した商業施設に来ていた。

 この商業施設は十階建てで最上階には美術館、九階にはレストラン街、八階には大型書店とホームセンターがそれぞれ入っている。美術館には興味があるのだがなかなか機会に恵まれず未だに行ったことがない。

 今日も用があるのは一階から七階の売り場のほうで美術館はスルーである。

「ええっと」

 エレベーターホールの壁に貼られた案内板を見ながら三浦部長が言った。

「とりあえず三階の紳士服と五階の子供服は無視していいな。見て回るなら二階の婦人服売場か四階の専門店街くらいか。いや、一階の化粧品売り場も観たほうがいいかな?」
「部長がプレゼントする相手にもよりますね」
 

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