やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない
「よし、とりあえず四階を見よう」

 三浦部長が行き先を決めた。

 私たちはエレベーターで四階に上がる。専門店街は他の階と違ってどこか高級感が漂っていた。私のように普段安物で済ませている者にとっては相当に敷居が高い。

 空気にさえ気品を感じる。

 やや腰の引けた私と比べて三浦部長は実に堂々としていた。高級ブランドとか似合いそうなイケメンだけあって違和感も全くない。

「お、ここなら知ってるぞ」

 躊躇無く三浦部長が入店したのは私が買ったことどころか触れたことすらない超高級ブランドのお店。

 戸惑う私に彼は小さく首を傾げた。

「ん? どうした、ここは駄目なのか?」
「……」

 いや、駄目というか。

 ここ、私みたいな庶民が入っていいの?
 
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