やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない
「わ、私みたいな安物だらけの女が仕事の後でふらっと入っていいお店じゃないですよ。こういう店は田園調布の奥様がホホホとか言いながらメイドさんと一緒に立ち寄るべきであって……」
「何を訳のわからないことを言ってるんだ? いいからさっさと入れ。選ぶ時間がなくなる」
「えーでも」
「でもじゃない。とにかく入れ!」

 三浦部長の強い口調に私は観念する。これは仕事と自分に言い聞かせて店内へと進んだ。
 

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