やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない
 店の中はとても綺麗でやはり高級感がハンパない。それでいてごちゃごちゃした雰囲気はなく内装はむしろシンプルなほうだ。こういうのはセンスを感じる。

 三浦部長が手近のバッグを手に取りふむふむと眺めた。

「ま、この程度のバッグならいくらでも買えるか」
「……」

 ちょっと待って。

 ここ、最低でも諭吉さんがサッカーの試合を組めるくらいいても足りない類のお店だよ。

 というか部長って金持ち?

「大野はコートとマフラーが欲しいって言ってたよな」

 三浦部長の声が私の疑問符をぺしゃりと押し潰す。

 私はさっきとは違う陳列棚へと移動した彼を慌てて追った。頭の中で部長って収入どのくらいだっけと考える。
 
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