青薔薇の至愛




冷蔵ショーケースから飲み物を取り出す藤永君に次いで、私も水と朱ちゃんがいつも飲んでる『茶は濁せば愛と化す』という謎の名前のいかにも苦そうな濃いお茶を取った。



「デート?」


藤永君が微笑ましそうに聞いてくるから、口元が緩んじゃう。



「そうなの!
 今から海を見に行くんだ~」


「入らないの?」


「私泳げないから……入っても足つけるぐらいかな。
 藤永君は誰かと一緒?」


「あ、うん。友達とーー……」



BGMがかかった店内で、他愛もない話をしていると、誰かが藤永君の背中を軽く叩いて私達の会話を止めた。



「おい藤永、遅いから何してるかと思ったら、なに、ナンパ?」


黒髪で短髪のくりくりとした可愛い瞳の男の人が藤永君に言う。



……あれ、この顔。

どこかで見たことあるような……。





< 118 / 208 >

この作品をシェア

pagetop