青薔薇の至愛
気まずさを感じながら、目を向け驚愕する。
人の目も気にせず声を荒げた男は見覚えがあって、その男とテーブル越しに座っている女の人は泉先輩だった。
「あー……?やっぱしつこい男だなあいつ」
泉先輩だと、朱ちゃんも気づいたみたいで。
パスタを巻いていたフォークを置いて席を外すと、二人の前に立った。
「まーだ泉追っかけてんのか。
いい加減にしないと、いくら元カレでも嫌われるぞ?」
朱ちゃんが軽く前屈みになりながら泉先輩の元カレに言う。
「はあ……?って、お前あの時の男か!!
また邪魔しに来たのか」
「邪魔してんのはそっちでしょー。
人が美味しいパスタをパクパク食べてるのによー。
うるさい声で女に当たって、泉にも店にも俺らにも迷惑だ」
「な……っ」
怒りでフルフルと震える男が朱ちゃんから視線を逸らし、泉先輩を睨む。
「おい、まさかお前。
この男と浮気してんのか?」
「へっ?」
「だってそうだろ。いつもタイミング良く現れて。
お前がこの場に呼んだんだろ」
「ちがっ……」