青薔薇の至愛





足に絡み付いていた海藻を取ると、走ってすぐに駆けつけた朱ちゃんが私をお姫様抱っこするから驚いて目が丸くなる。



「なに、足捻った?」


「ち、ち、違うよ朱ちゃん勘違い!
 ただ転んだだけ……っ、恥ずかしいからおろして」



人の目が気になってチラッと砂浜を見ると、さっき朱ちゃんに声をかけていたお姉さん達が残念そうに私達を見ていたから目を逸らして俯いてしまう。



「一瞬でも目を離すんじゃなかったな。
 溺れたかと思ってほんと驚いた」


「溺れたりしないから大丈夫だよ……」


「優泳げないだろ?
 あー、お兄ちゃんは心がヒヤヒヤだよ」


「……っ」


でた、朱ちゃんの『お兄ちゃん』


子供っぽいところ見せた後に、その言葉を言われると胸が痛くなる。


それに、綺麗なお姉さんにナンパされた後だったから余計に自信なくしちゃう。



胸がチクチクして痛いから、「朱ちゃん、おろして」と口を動かそうとした時。



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