青薔薇の至愛



ふたりっきりの時間は流れが速く、いつの間にか瞼がトロンと落ちてくる時間にアクビをする。


布団をくっつけて、朱ちゃんが電気を消すと、暗い世界に好きな人の温もりがあって落ち着かない。


手を伸ばすと触れられる距離にいるけど、反対に背を向けて寝る朱ちゃんに少しガッカリした。


緊張はするけど、朱ちゃんに抱き締められて寝ることを期待してた私にとっては、顔も見られないことに分かりやすくテンションが下がってしまう。


寝るだけなのに……。



「あけちゃん……」


ギュッと後ろから服を掴んでみた。


返事がない。


今日色んな事があって疲れただろうし、すぐ眠りについてもおかしくない。


返事がないのを良いことに体を密着させ、後ろから抱き締める様にして目を閉じると。


「優」と朱ちゃんの声が聞こえてきて、ビクッと肩が震えた。




「あ、朱ちゃん起きてたなら返事してよ」


「どこかの誰かさんがひっつき虫みたいにくっついてくるから、朱ちゃん寝れない」


「だってせっかくふたりっきりのお泊まりなのに、もう寝ちゃうなんて寂しいよ~」


「眠そうにしてたのはお前だろ~。
 朱ちゃんはな、夜更かしさんなんだよ。
 全然寝れねーよこんな時間から」


「だから朱ちゃん朝弱いんだね」


「優が起こしてくれるから、朝弱くて困ったことねーな。」




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