青薔薇の至愛
気まずい沈黙が走る。
分かりやすく視線を逸らして俯くと、朱ちゃんが私の頬を掴んで強制的に目を合わさせる。
「お前、もう俺の部屋出入り禁しな」
「なっ、なんで?!」
「バカみたいに腹だして寝るし、そもそも嫁入り前の女の子が男の部屋に気軽に来るとはいかがなものか。」
「小さい頃から遊びに来てるのに駄目なの?!」
「そうだな、もう俺とお前は男と女だからな」
「……っ」
「お兄ちゃん?確かに無理があるな。
本当のお兄ちゃんはこんな事しねーよ。」
朱ちゃんの指が私の唇に一瞬触れる。
でもすぐに、その指は丸まって私の額にデコピンしてきた。
「いたっ!」
「このくらいで許しといてやる。
もう帰れ」
冷たい声に血の気が引く。
けど、すぐにそれは怒りへと変わった。
「……っ、あ、ば、」
「……ん?」
「朱ちゃんのバカッ!!」