初恋物語~大切な君へ

ドンッ

えっ?何が起こったの?
誰かがぶつかってきたの?

「痛っ…」

ぶつかった衝撃で持っていたメガネが床に落ちてしまった。



「ごっ!ごめん俺がよそ見しながら」
「歩いてたから…」


私の左横で、吉川颯太君がサラサラの金髪の髪から爽やかな香りを漂わせながら床に
しゃがみ込み私の落ちたメガネを拾っていた。


「木梨さん、ごめんね大丈夫…怪我してない?」
「!!!」


吉川颯太君は私の顔に近づき何か驚きながら謝ってきた。

ってか近いよ!
そんな近く寄らないで…
眩しいよおー!







俺、吉川颯太は今とてつもなく今まで感じた事のない身体中に電流が走った。
俺がぶつかった女の子はいつも俯いていて
あまり人と関わるのを避けて暗いイメージで見た目も地味な女子だった子だよな?
でもそんな木梨雫の事は入学した時から
少しは気にはなっていた。
周りの女子とは違うタイプで決して人の悪口も言わないし、すごく友達想い、クラスの子がサボった日直も黙って自分からしたり頼まれ事を断りもせず受けてしちゃう。
そのくせ恩着せがましくない。
いわゆるお人好しと超優しい子。
なかなか話すタイミングも見つからなく
いつかこの子とお友達になれたらなぁって初めて思えた子。
今日、今俺の目の前にいるその子はメガネをしていなくメガネつけてる時と付けていない時の印象が違う。
髪型は変わらず三つ編みツインだけどそこがまたツッコミどころ満載で可愛い。
だけどものすごく美少女だった。
衝撃だった。
ヤバい俺の心臓の鼓動が早くなるのがわかる。

なんだろこの気持ち…




「あっ…はい大丈夫です。」

まだ私の顔は覗き込まれたままだった。
顔立ち整ってるなぁ…
白い肌に茶色がかった大きな瞳で
ザッ美少年。
王子様と呼ばれるのわかるよ。
青いカラコン入れたら完璧な王子様だろうなぁ。
ほんとある意味ここまでルックス完璧だと
色々大変そう。
身長も180はありそうだもん。
って!私なんでこんな分析してるの!
恥ずかしくなってきた。
考えるのやめやめ!



「あっ、はいメガネ」
「大事な物なのに落とさせてしまって」
「ごめんね。」
「もし使ってみてレンズがおかしかったり」
「したらいつでも言って」
「弁償するから。」




周りがざわつくのがすぐにわかった。
とにかく早く目立たないようにしなきゃ。




「メガネ拾って下さり」
「ありがとうございました。」
「メガネ、大丈夫だと思うので」
「弁償とか大丈夫ですお気持ちだけ」
「受け取っておきます。」
「でわ。」




私はお礼を言ってからすぐメガネを
つけ直して、吉川颯太君にお辞儀を
してからいつものように俯いて1限目の
授業に向けて予習をした。








木梨さんは少し慌てながら俺にお礼を言っていつもの木梨雫に戻った。
ふふ(笑)
同じ歳でクラスメイトなのに俺に敬語で
話すって可愛い…。
真面目かっってツッコミどころまたもや
満載。
もっとこの子の事知りたい。
素直にそう思えた。
高校入学して1番俺の中で楽しいと思えた1日になったなぁ。
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