わたしたちの好きなひと
「あー、もう! どうしてこう計画どおりにいかないかな。…おかげでびしょびしょだ。本当におまえ、めんどくせえ」
な…に、よ。
なによっ。
怒ってるんだったら離してよ。
こんなに…こんなにそばにいちゃ。
わたし……、制服の胸のボタンしか、見えないよ。
「素直に好きだって言えよ。…そしたら聞いたのに」
恭太……?
「おれと…どっちが好きだ?」
シュート…はずれ。
そのキック…失敗。
そんなこと――…。
そんなこと答えられるわけないじゃない。
ばか恭太。
あんぽんたん。
わからんちん!
「なんだよ。泣いてんのか? おまえ」
「泣いてなんか、ない」
恭太の制服の胸、最初からぬれてたじゃない。
「あーあぁ。…まぁいいか。どうせ、びしょびしょだもんな」
そうだよ。
だから、もっとぬらしてやる。
もう少し、このままで、いちゃうんだ。
「…………」
「…………」
わたしをすがりつかせたまま、恭太の足がばしゃばしゃ雨を蹴りとばしている。
顔だけ、そっぽ向いちゃって。
…困るよ、ね。
わかってるけど。
いまだけ、ね。
いまだけ恭太を、困らせたい…の。
な…に、よ。
なによっ。
怒ってるんだったら離してよ。
こんなに…こんなにそばにいちゃ。
わたし……、制服の胸のボタンしか、見えないよ。
「素直に好きだって言えよ。…そしたら聞いたのに」
恭太……?
「おれと…どっちが好きだ?」
シュート…はずれ。
そのキック…失敗。
そんなこと――…。
そんなこと答えられるわけないじゃない。
ばか恭太。
あんぽんたん。
わからんちん!
「なんだよ。泣いてんのか? おまえ」
「泣いてなんか、ない」
恭太の制服の胸、最初からぬれてたじゃない。
「あーあぁ。…まぁいいか。どうせ、びしょびしょだもんな」
そうだよ。
だから、もっとぬらしてやる。
もう少し、このままで、いちゃうんだ。
「…………」
「…………」
わたしをすがりつかせたまま、恭太の足がばしゃばしゃ雨を蹴りとばしている。
顔だけ、そっぽ向いちゃって。
…困るよ、ね。
わかってるけど。
いまだけ、ね。
いまだけ恭太を、困らせたい…の。