わたしたちの好きなひと
 掛居がいつもとちがうのに気がつかないの?
 もうやめて。
「離してってば」
 恭太の胸でじたばたしながら掛居の様子をうかがってしまうのは、わたしのおごりかもしれない。
 でも、もういやだ。
 岡本みたいに悲しむ子を、もう見たくない。
 掛居やめて。
 恭太やめて。
「おれは、もうとっくに、りっぱな三角関係だと思うけど、な」
「…………っ」
 信じられない。
 掛居ってばどうしたの?
 いやだよ、いやだ。
「掛居っ!」
 必死で掛居に腕を伸ばすわたしを、そっと離して恭太は…笑った。
「おまえらが友だちじゃなくなったら、おれも悩むことにするよ」
「…………」「…………」
 時が止まったのはわたしと掛居。
 恭太わかってる。
 恭太、掛居の気持ちをちゃんと受け取ったんだ。
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