今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
彼は私に背を向けて、階下に広がる夜景に目を落とす。空いた右手を胸の前で掲げ、きゅっと強く握り締めた。
「もう少しだったんだ。あと少しで、命を掴めるはずだった」
「西園寺先生……」
「自分の処置が悪かっただなんて思わないけれど……悔しいね」
振り返った西園寺先生は歪な笑みを浮かべていた。悲しげな目をして、無理やり口の端を上げて強がっているのがわかる。痩せ我慢に胸が痛くなった。
「西園寺先生は、立派なお医者さんです」
彼が手を尽くしたのは、見ていなくてもわかる。
守ろうとして必死に戦ったあげく、自分の手の中で命が失われる――どれほどの悔しさなのだろう。それとも虚しさだろうか。私には想像がつかないけれど。
「救えなかった命の数じゃなくて、救えた数を数えてください……」
彼はこれまでたくさんの命を救ってきたはずだ。
そして、患者の家族を、友人を、しあわせにしてきたのだ。今までも、これからだってそう。
だからそんなに悲しい顔をしないでほしい。自分の価値を、見失わないでほしい。
「もう少しだったんだ。あと少しで、命を掴めるはずだった」
「西園寺先生……」
「自分の処置が悪かっただなんて思わないけれど……悔しいね」
振り返った西園寺先生は歪な笑みを浮かべていた。悲しげな目をして、無理やり口の端を上げて強がっているのがわかる。痩せ我慢に胸が痛くなった。
「西園寺先生は、立派なお医者さんです」
彼が手を尽くしたのは、見ていなくてもわかる。
守ろうとして必死に戦ったあげく、自分の手の中で命が失われる――どれほどの悔しさなのだろう。それとも虚しさだろうか。私には想像がつかないけれど。
「救えなかった命の数じゃなくて、救えた数を数えてください……」
彼はこれまでたくさんの命を救ってきたはずだ。
そして、患者の家族を、友人を、しあわせにしてきたのだ。今までも、これからだってそう。
だからそんなに悲しい顔をしないでほしい。自分の価値を、見失わないでほしい。