今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
立地的にいえば、むしろ会社からは近くなって、通勤時間が短縮される。

家事はもともと百合根さんの家に居候させてもらっていた経験があるから、ふたり分の食事を作ることも抵抗はない。

部屋は広いが、小物がきちんと収納されているので掃除がしやすくて楽だ。

平日はロボット掃除機を走らせるだけでいい。細かいところは土日にやればいいし、彼も手伝ってくれる。

「全部クリーニングに頼んじゃおうよ。掃除もハウスキーパーを雇えばいい。食事だって、品質にこだわりたいのならオーガニックのデリバリーもある。体を大事にしなきゃいけない時期なのに、前より生活が大変になったら、元も子もないだろう」

彼はそう言ってくれるけれど。

「この程度はたいした手間じゃありませんよ。私の掃除じゃ不満だって言うなら考えますけど」

「そんなんじゃないよ。ただ、君をこき使いたくないだけ。新婚早々逃げられたくないし」

お互いに苦笑する。

私もほどほどに手を抜いてやっているし、幸いなことに彼もそこまで細かく気にするようなタイプじゃない。隅の埃を指先ですくうような鬼姑系主人じゃなくてよかった。
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