今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
ときおり彼は、私たちが古くからの知り合いであるかのように言う。
けれど、どんなに思い出そうとしても、私は彼に会った記憶がない。医者には眞木先生以外に知り合いなどいないはずだし。
そのとき、テーブルの上に置いていた私の携帯端末がブブブッと震えた。
私たちはディスプレイを覗き込んで、「あ」とふたりして声をあげる。
「眞木先生だ……こんな時間にどうしたんでしょう?」
「あの人は本当に俺たちの中を邪魔するのがうまいね」
悠生さんは呆れたように言いつつも私を解放してくれる。電話に出ていいよという意味なのだと解釈し、私は端末を手に取った。
「はい。白雪です」
『あ、眞木です。遅い時間にごめんね。まだ白雪さんに直接言ってなかったなと思って。妊娠おめでとう! 結婚の話、俺も院長もすごく驚いたよ』
通話音量を高めに設定して、悠生さんにも聞こえるようにする。
だって、彼ってば横でものすごく不機嫌そうな顔をしているから。やましい会話は一切ありませんというアピールだ。
『西園寺先生が白雪さんにあからさまにアピールしているから、少し心配だったんだ。邪魔をしないほうがいいのか、したほうがいいのか……でもうまくいったようでよかった』
けれど、どんなに思い出そうとしても、私は彼に会った記憶がない。医者には眞木先生以外に知り合いなどいないはずだし。
そのとき、テーブルの上に置いていた私の携帯端末がブブブッと震えた。
私たちはディスプレイを覗き込んで、「あ」とふたりして声をあげる。
「眞木先生だ……こんな時間にどうしたんでしょう?」
「あの人は本当に俺たちの中を邪魔するのがうまいね」
悠生さんは呆れたように言いつつも私を解放してくれる。電話に出ていいよという意味なのだと解釈し、私は端末を手に取った。
「はい。白雪です」
『あ、眞木です。遅い時間にごめんね。まだ白雪さんに直接言ってなかったなと思って。妊娠おめでとう! 結婚の話、俺も院長もすごく驚いたよ』
通話音量を高めに設定して、悠生さんにも聞こえるようにする。
だって、彼ってば横でものすごく不機嫌そうな顔をしているから。やましい会話は一切ありませんというアピールだ。
『西園寺先生が白雪さんにあからさまにアピールしているから、少し心配だったんだ。邪魔をしないほうがいいのか、したほうがいいのか……でもうまくいったようでよかった』