今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
私の横で悠生さんが「今もすごーく邪魔しているよ」と不愉快そうにつぶやいた。

私は空笑いを浮かべながら、眞木先生にお礼を伝える。

「ありがとうございます。私も、自分のことながらとても驚いています。ご紹介してもらってすぐ、こんなご報告をすることになるなんて……」

『まぁ驚きはしたけれど、君たちは完全に初対面というわけでもないしね。自然な流れだったんじゃない? これは秘密だけど、西園寺先生は再会して早々君を口説くつもりだったみたいだよ』

「再会……?」

それってどういうことだろう? かねての疑念が大きく膨れ上がって、胸の奥がざわつく。

やっぱり私たちは初対面ではないの? 

咄嗟に悠生さんに目を向ければ、彼はごまかすように目を逸らした。

『あれ? もしかして覚えてない? 八年前、君が入院したときのこと』

「八年前……」

交通事故で入院して、眞木先生に手術してもらったとき。

でもあれは整形外科だったから、心臓血管外科の彼には関係がないはずだし……。

あれ? そもそも、当時の悠生さんは何歳だったの?

八年前だから、医学部を卒業してすぐだろうか。まだ一人前と呼べるようなお医者さまにはなっていなかったのでは……。

ぐるぐると考えを巡らせていると、眞木先生が答え合わせとばかりに教えてくれた。
< 203 / 275 >

この作品をシェア

pagetop