今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
『俺の下に研修医がいただろう? あれが西園寺先生だよ』
「……え……」
研修医――!? まさかと思い記憶をたどる。もしかして、横暴な患者さんに水をかけられていたあの人のことだろうか……?
思い出そうとしても顔が出てこない。確か、前髪が長めで眼鏡をかけていた気がする。ちゃんと目を見た記憶がない。
地味で、大人しくて、主張の少ない男性だったと思う。ふんわりと笑う優しそうな口元だけはよく覚えている。
咄嗟に悠生さんのほうを振り返ると、彼はバラされたことが不満だったのか、だるそうにソファのひじ掛けにもたれかかっていた。
「……でも、ゆ――西園寺先生って、心臓血管外科ですよね? どうして整形外科にいたんですか!?」
『ああ。初期の研修ではいろいろな科を回るからね』
そういえばそんなことを前にも聞かせてもらったっけ。ハッとして口元を押さえる。
『白雪さん、患者さんを怒鳴りつけて西園寺先生を助けてあげたんだろう? あの事件があってから、彼の仕事に対するスタンスは変わった気がするよ。もともととても器用で、仕事はキチンとこなすタイプだったけれど、どこか熱意が感じられないところがあって――』
「……え……」
研修医――!? まさかと思い記憶をたどる。もしかして、横暴な患者さんに水をかけられていたあの人のことだろうか……?
思い出そうとしても顔が出てこない。確か、前髪が長めで眼鏡をかけていた気がする。ちゃんと目を見た記憶がない。
地味で、大人しくて、主張の少ない男性だったと思う。ふんわりと笑う優しそうな口元だけはよく覚えている。
咄嗟に悠生さんのほうを振り返ると、彼はバラされたことが不満だったのか、だるそうにソファのひじ掛けにもたれかかっていた。
「……でも、ゆ――西園寺先生って、心臓血管外科ですよね? どうして整形外科にいたんですか!?」
『ああ。初期の研修ではいろいろな科を回るからね』
そういえばそんなことを前にも聞かせてもらったっけ。ハッとして口元を押さえる。
『白雪さん、患者さんを怒鳴りつけて西園寺先生を助けてあげたんだろう? あの事件があってから、彼の仕事に対するスタンスは変わった気がするよ。もともととても器用で、仕事はキチンとこなすタイプだったけれど、どこか熱意が感じられないところがあって――』