今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
「それはよかった。杏が俺のものである証しだからね。悪い男の誘惑から守ってくれる」

彼が言う通り、結婚式の二次会で何人かの男性に声をかけられたけれど、この指輪が相手の視界に入った途端、みんなそそくさと去っていった。

既婚者だと気づいたのか、あるいは、こんな高そうな指輪を好む女は手に負えないと判断したのか――男除け効果は絶大だった。

「素顔の君もかわいいけれど、今日の君もとびきりかわいいよ」

産休に入ってからはほとんどメイクをしなかったから、珍しく感じたのだろう。服装も普段は動きやすい格好ばかり。着飾ったのは久しぶりだ。

「……少しリップの色が甘すぎたね。まるで食べてくれってねだっているみたい。他の男に見られたのが悔しいな」

私の唇に親指を当てて彼は言う。

艶っぽい眼差しをされてドキリとした。そういえば、出産をしてから今日まで、こんなに甘い声でささやかれたことはなかったような……。

「……久しぶりで、ちょっとメイクに気合いが入りすぎちゃったかも……アイメイクも色が強すぎたかな」

「綺麗に馴染んでいるよ。白い肌に上品なパープルがよく映えている。本当に焦るよ。君が無事に帰ってこられたのは、奇跡だった」
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