今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
……ちょっと言いすぎだ。お世辞なのだろうけれど、彼の顔は至極真面目で、本気で動揺してしまう。思わず頬が熱くなった。

今日はスモークパープルのロングドレスを着ていったから、メイクも合わせて紫系のカラーを使った。胸元は大胆なビスチェタイプになっていて、出かける前に悠生さんから「絶対にショールを取らないで」と念を押された。

髪はパールとビジューのバレッタでハーフアップにして、毛先はしっかりと巻いている。

「この髪型もかわいい」そう言ってくすりと笑った悠生さんは、私の髪をひと房すくってそっと口づけした。

これまで、ずっと育児にかかりきりだったから、彼を男性として意識するのは久しぶりで――なんだか胸がバクバクして、収拾がつかなくなってしまう。

「ねぇ、杏。今日はもう疲れてしまった? もし君が元気なら――」

彼の指先が私の顎をすくう。端正な顔を目の前まで近づけられて、呼吸をするのもはばかられる。

「このままベッドへ連れていきたいのだけれど」

熱く昂った感情をぶつけられ、胸が疼いた。

初めて体を重ねてそれっきり。

私の体を心配して、ずっとキス以上のことを求めてこなかった彼が。

やっと、再び、私を求めてくれた。
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