今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
「あの……なんだか……」

「どうしたの?」

「いつもの悠生さんじゃないみたい……」

恥ずかしくなって目を伏せると、彼は喉の奥を震わせて笑った。

「杏も全然違って見えるよ。とても『ママ』には見えないな」

授乳中、胸を見られてしまったこともあったけれど、今だけはどうか違う自分を見てほしい。

『ママ』ではなく『私』を求めてほしいから――。

彼の首筋に腕を絡め、引き寄せる。私が彼の唇を奪おうとしている隙に、彼は私のストッキングを、そしてショーツを、膝から下に引き抜き脚を自由にした。その間に彼は自分の身を置き、ゆっくりと体重をかけていく。

時間をかけて、甘く溶かすように愛撫して。

やがて身体が重なり、深く繋がって、眩暈に襲われる。

初めて体を重ねたときは罪悪感に押し潰されそうだったけれど、今日はすべてを明け渡してしまいたいほど心地が良い。

「……悠生さんのことが、好き」

『愛している』ではなく『好き』を使ったのは、自分が満たされたいという身勝手な欲求だ。

「……俺も。君の体に恋をしそうだ」

淫らに息を荒くする私を、彼は楽しそうに眺めている。あえて私を昂らせ、焦らし、まるで弄んでいるようだ。

たまらず彼の背中に縋りつくと、逆にお預けをされた。
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