今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
第一章 最低のお医者さま?
――遡ること三カ月――



その日のディナーは取材を兼ねていた。

服装はきちんと見えるように、でも堅苦しくなりすぎないように気をつけた。

久しぶりに会う恩人の前でいいところも見せたいし、なにより頼りがいのある女性だと思われたい。これはビジネスなのだから。

白いストレートパンツにブラックのジャケットを合わせて。髪はひとつにまとめてシニヨンに。

首が冷えるので、冬場はだいたいハイネックのニットを着ている。

今日のニットはダークグレー。服の色が地味な分、大ぶりのパールネックレスを服の上からつけて華やかさをプラスした。

取材相手は都内に勤める三十代後半の男性。ちなみにイケメン。

取材場所は相手の行動範囲に合わせるのが基本。彼の職場近くの小洒落たイタリアンを予約した。ゆっくり話ができるように個室だ。

彼をお待たせしないように、指定した時間の十五分前に到着。

入口側の席に座って待っていると、うしろから「こちらのお席になります」というスタッフの声が聞こえてきた。
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