碧色の恋。


でも──幼なじみで部屋が隣同士で、いつも一緒に居たらそりゃあ七瀬くんのこと好きな人からすれば、嫌われる対象になって当たり前だよね。


「琴音?」


「えっ?」


しまちゃんの言葉でハッとする。


「琴音、本当は何かあるんじゃないの?」


さすがしまちゃん。私のことは何でもお見通しだ。
でも、『あのこと』は私が悪いから…。


「あはは、何にもないよ」


しまちゃんに知られて、嫌われるのが怖い。
だからごめんね、『あのこと』だけは言えない。




七瀬くんが戻ってくることなく、放課後になった。
私は日直だったため日誌を書いて職員室に届けるところ。


「失礼しました」


ジメジメとした梅雨が終わり、夏が近付いてきた。
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