パラダイス、虹を見て。
***

 何もしていないのに。
 どっと疲れた。
 就寝前、ベッドの上に座り込んで。
「あー」と小さい声を出す。

 本当に気まずい。
 アラレさんは私を無視している。
 どうすればいいんだろう…。

 頭を抱えていると。
 ドアがノックされて、ユキさんが入ってきた。
「まだ、寝る前だよね?」
 そう言ってユキさんはベッドの前に置いてある椅子に座った。

 ユキさんは白っぽいブカブカのシャツに黒っぽいスキニーパンツを履いている。
 付けている香水が爽やかに香る。
「アラレと喧嘩でもした?」
 いきなり、核心をついたので、思わず「ひゃっ」と変な声を出してしまった。

「やっぱりそうか。2人から気まずい空気が出ちゃってるよ」
 足を組んで、ユキさんは「ふーん」とこっちを見る。
「喧嘩というか…。アラレさんが一方的に…」
 そこまで言って。
 あ、ユキさんもアラレさんの味方をするに違いないと思って。
 絶望する。

「まあ。聞かなくともアラレが悪いから気にしなくていいよ」
「え?」
 てっきり、責められるのかと思っていたのに。
 意外な言葉にユキさんを凝視してしまった。

「アラレはさ、いつも勝手に突っ走って勝手に思い込んで落ち込んでいるからね。あれでも繊細なんだよ」
「…私は、どうすればいいんですか?」
 アラレさんに謝るのも、変な感じだし。
 かといえ、今のアラレさんが話を聴いてくれる感じでもない。

 ユキさんに質問すると。
 ユキさんは笑った。
「放っておけばいい」
「ええ!?」
 大声で言うと、ユキさんはまた笑う。
「カスミさんが話しかけたければアラレに話しかければいいし、面倒臭ければ放っておいても大丈夫だよ」
「そんな…」
 質問する相手を間違えてしまっただろうか・・・。
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